こんにちは。ケアマネージャー歴15年、管理人の「あつし」です。
長年住み慣れた実家を離れ、親を介護施設へ入居させるという決断は、ご家族にとって本当に身を切られるような思いですよね。
いざ施設での生活がスタートしても、母が施設で寂しいと泣いてしまったり、面会のたびに家に帰りたいと訴えられたりすると、胸が締め付けられるような気持ちになる方も多いのではないでしょうか。
認知症の母が寂しい思いをしている姿を見ると、施設に入れた母への罪悪感や、母親を施設へ預けた後悔で頭がいっぱいになってしまうかもしれません。ですが、その寂しさには明確な心理的背景があり、お母様の心が少しずつ新しい環境に馴染んでいくためのプロセスでもあります。
この記事では、ケアマネージャーとしての経験をもとに、お母様がなぜ強い孤独感を感じてしまうのか、そしてご家族がどのようにサポートしていけばお互いに笑顔を取り戻せるのかを、包み隠さずお話ししていきますね。
読み終える頃には、ご自身の決断に自信を持ち、前向きな一歩を踏み出せるようになりますよ。
- 施設に入居した母が孤独や寂しさを感じてしまう根本的な理由
- 家に帰りたいと泣く母の心理状態と環境に適応するまでのステップ
- 寂しがる母が安心してくれる面会のコツや電話の適切なコミュニケーション
- 親を施設に預けた自分自身を許し罪悪感を手放すための考え方
施設で寂しいと訴える母の心理とは
お母様が施設で「寂しい」「帰りたい」と口にするのには、単なるワガママではなく、とても複雑な心理状態が絡み合っています。ここでは、お母様の心の中で一体何が起きているのか、そしてご家族が抱えてしまう葛藤について、一つずつ紐解いていきましょう。
施設に入れた母への罪悪感と葛藤

お母様からの「寂しい」という言葉を聞いて、一番苦しいのは間違いなくご家族ですよね。「自分が最後まで看てあげられなかった」「親を冷たい場所に追いやったのではないか」と、深い罪悪感に苛まれる方は本当に多いんです。
日本では昔から「親の介護は子どもがするもの」という価値観が根強く残っていますから、施設に預ける=親不孝、と考えてしまうのも無理はありません。しかし、現代のように共働きが当たり前になり、核家族化が進んだ社会では、家族だけで介護を抱え込むことは現実的に不可能です。
介護疲れが限界に達すると、親への純粋な愛情がイライラや憎しみに変わってしまう「共倒れ」のリスクが跳ね上がります。これは絶対に避けなければいけない事態ですよ。
施設にお願いしたことは、決して責任放棄ではありません。むしろ、お母様の安全とご家族の生活の両方を守るための、勇気ある愛情深い決断なのです。
認知症の母が抱く不安と寂しさの理由
もしお母様に認知症の症状がある場合、その寂しさの裏には私たちが想像する以上の「恐怖」が隠れているかもしれません。
認知症が進行すると、自分が今どこにいるのか、なぜここにいるのかが分からなくなる「見当識障害」という症状が現れます。見知らぬ場所に突然ポツンと置かれ、周りには知らない人ばかり。自分が自分でなくなっていくような感覚は、計り知れない不安と孤独感を生み出します。
また、認知機能が保たれているお母様であっても、「将来の費用は足りるのか」「子どもに迷惑をかけているのではないか」という漠然とした不安や、社会での役割を失ったことによる無力感から、深い寂しさを抱え込んでしまうことがあるんです。
施設から家に帰りたいと泣く母の心理
面会のたびに「家に帰りたい」と泣かれてしまうと、本当に辛いですよね。でも、これは高齢者が新しい環境に移った際に経験する「リロケーションダメージ(転居に伴う心身のダメージ)」という正常な反応の一つなんです。
高齢者にとって「自宅」は、自分の人生そのものであり、アイデンティティの一部です。そこから切り離されると、心が大きなパニックを起こします。「こんな所にいる理由はない」という現実への抵抗から始まり、「なぜ自分を捨てたのか」という怒りや絶望に変わることもあります。
この泣き叫ぶような訴えは、実はお母様が新しい環境と必死に戦い、心のバランスを取ろうとしている証拠でもあります。「自分を責められている」と受け取るのではなく、「お母さんも今、一生懸命に環境の変化と戦っているんだな」と捉えてみてくださいね。
施設に入居した母が環境に慣れるまで

新しい環境に慣れるまでの期間には、明確な心理的ステップがあると言われています。お母様は今、どの段階にいるのかを知っておくと、ご家族も少し冷静に見守ることができますよ。
| 段階 | 心理状態の特徴 |
|---|---|
| 第1段階:とまどい・否定 | 現実を受け入れられず、「私はまだ元気だ」「家に帰る」と主張する時期。 |
| 第2段階:混乱・怒り・拒絶 | 自由が奪われた怒りや絶望感が爆発。家族への恨み言や涙が増える最も辛い時期。 |
| 第3段階:妥協・受容の始まり | 「ここにいるしかないのかな」と現実を少しずつ受け入れ始める時期。 |
| 第4段階:適応・安定 | 施設のスタッフや他の入居者との関係ができ、自分なりの居場所を見つける時期。 |
多くの場合、ご家族が一番悩むのは「第2段階」の時期です。しかし、適切なサポートと時間の経過によって、必ず第3、第4の段階へと進んでいきます。焦らず、ゆっくりとお母様のペースに寄り添ってあげることが大切ですよ。
母親を施設へ預けた後悔を乗り越える
後悔の念を手放すための最大のコツは、介護の考え方を「パラダイムシフト(枠組みの転換)」させることです。
「身体のケアはプロである施設スタッフに任せ、自分は心のケア(精神的サポート)に専念する」。こう割り切ってみてはいかがでしょうか?
日々の過酷な身体介護から解放されることで、ご家族の心に余裕が生まれます。その余裕があるからこそ、面会のときにお母様の話を笑顔で聞いてあげられるようになるんです。
施設入居は親子の縁が切れることではなく、「専門家チームと一緒に親を支える新しい体制」のスタートです。どうか、ご自身を責めすぎないでくださいね。
施設にいる母が寂しい時の家族の対処法
お母様の心理状態が理解できたら、次はいよいよ具体的なアクションです。ご家族のちょっとした声かけや接し方の工夫で、お母様の孤独感は驚くほど和らいでいきますよ。ここでは、今日から実践できる実践的なコミュニケーション術をご紹介します。
寂しい母が安心する施設での面会のコツ
面会に行くとき、義務感から暗い顔になってしまったり、時計をチラチラ気にしたりしていませんか?お母様はご家族の表情や空気をとても敏感に察知します。「忙しいのに無理して来させてしまった」と思わせないよう、短時間でもゆったりと向き合うことが重要です。
感情を否定せずに受け止める(バリデーション)
お母様が「帰りたい」と言ったとき、「無理だよ!前に説明したでしょ!」と正論で論破するのは逆効果です。まずは「家のことが心配だよね」「寂しい思いをさせてごめんね」と、お母様の感情そのものに共感し、受け止めてあげてください。自分の気持ちを分かってもらえたという安心感が、一番の薬になります。
帰り際の「魔法の言葉」
面会で一番寂しさが募るのは、ご家族が帰ってしまう瞬間です。その寂しさを和らげるために、帰り際には必ず「また来週の日曜日に来るからね」「次は一緒にお菓子を食べようね」と、「次の予定(未来の約束)」をはっきりと伝えてあげてください。これが心理的な支えとなり、離れている間の不安を大きく減らしてくれますよ。
施設にいる母との電話の適切な頻度

面会に行けない日の電話も、お母様にとっては社会との大切ながりです。ただし、思いつきでバラバラの時間に電話をするのは、かえってお母様をソワソワさせてしまう原因になりかねません。
電話をするなら、「毎週水曜日の夕食後」や「日曜日の朝」など、時間を固定してルーティン化するのがおすすめです。
生活の中に「この時間になれば声が聞ける」という決まったリズムができることで、日々の生活に安心感が生まれます。また、最近ではスマートディスプレイなどを使って顔を見ながらビデオ通話をするのも、距離をグッと縮める良い方法ですね。

介護施設では、感染症予防のため面会を予約制にしているケースがあります。時間を固定する場合は施設と相談しましょうね。
寂しいと訴える母への正しい対応方法
もしお母様が施設に慣れず、スタッフに対しても過剰な要求(いわゆる「かまってちゃん」状態)をしてしまう場合は、ご家族だけで抱え込まずに、必ず施設のケアマネージャーや相談員に共有してください。
そうした行動の裏には「自分はここにいてもいいのか」という強い不安が隠れています。施設側にお母様の昔の仕事や趣味、好きだった音楽などを伝えておくことで、スタッフがその話題を振ってくれたり、ちょっとした役割(タオル畳みなど)をお願いしたりするきっかけになります。
「自分はまだ人の役に立てるんだ」という感覚を取り戻すことが、施設での居場所を見つける最短ルートになるんですよ。
親を施設に入れるのは可哀想ではない


何度でもお伝えしたいのですが、お母様を施設にお願いしたことは決して「可哀想なこと」ではありません。
施設では、栄養バランスの取れた食事が提供され、安全にお風呂に入ることができ、日中のレクリエーションで脳や身体を動かす機会があります。ご自宅で一人きりで一日中テレビを見て過ごしたり、転倒のリスクに怯えたりする生活よりも、ずっと健康的で安全な環境が整っているんです。
※施設にかかる費用やサービス内容は地域や施設形態によって大きく異なります。上記はあくまで一般的な目安ですので、実際の入居や生活に関する最終的な判断は、担当のケアマネージャーや施設の専門家にご相談くださいね。
施設で寂しい母と築く新しい家族の絆


施設への入居は、今までのお母様との関係がいったんリセットされ、新しい距離感で絆を結び直すチャンスでもあります。
介護の重圧から解放されたあなたは、きっと以前よりも優しい笑顔でお母様に接することができるはずです。お母様も、徐々に施設の生活リズムに慣れ、お友達ができれば、面会のときに「今日はこんなことがあったのよ」と楽しく報告してくれる日が必ず来ます。
寂しさを完全にゼロにすることは難しいかもしれません。でも、ご家族の温かい声かけと、施設スタッフの専門的なケアがあれば、その寂しさを「安心感」に変えていくことは十分に可能です。
どうか一人で思い詰めず、施設のスタッフという頼もしい味方と一緒に、お母様の新しい暮らしをサポートしていきましょう。あなたの選択は間違っていません。自信を持って、笑顔でお母様に会いに行ってあげてくださいね。










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